大「蘇峰の言論活動がそのまま日本のナショナリズムの軌跡と重なるのは、蘇峰の思想的スタンスは一種の便宜主義に根差していたからなんですよ」
ち「要するに、常に政府の膨張主義的な現状の追認に陥りやすい性質を持っていたということですね」
大「まさに明治国家の伊藤博文を初めとしたイデオローグたちの掲げた、四民平等・万機公論・文明開化といった約束手形を非権力の立場から現実化しようとするものです」
ち「大逆事件に対して文化人の中で公然とこの事件を批判したのは、徳富蘆花だけであったと言っても過言ではないね」
大「三島がニューオーリンズへ行ったのは初回の世界旅行ではなく、二回目に招待を受け、そのとき本物のブードゥを見たくてハイチへ足をのばし、さらにキューバへも立ち寄ったことがあり、その帰りがけにニューオーリンズにも寄ってみたらしいんだね」