7days覚書(1)

さて、いよいよ八月に入りまして、さきほどMJQT+弧回用のアレンジ譜面を書き終えて仕事部屋から出て、暑さと睡眠不足で朦朧としながらとりあえずテレビを点けると、なんか背は小さいが筋骨たくましい男子たちがハイっと手を挙げては入れ替わり立ち代わり、床の上を走っては物凄い勢いで飛んだり跳ねたりクルクル回ったりしていて、なんだろう、これは…とあっけにとられて見ていたのですが、オリンピック。と思わず体言止め。になってしまうほど、世間の動きとは切りはなれてここ数週間は準備にかかりっきりでしたよ! 何が? 何の? もちろん八月一三日(月)~一九日(日)まで荻窪VELVETSUNでおこなわれる3×7=21連続公演の準備です! そろそろリハ&打ち合わせも佳境に入り、全体像が本人にもようやっと見えてきたので、遅まきながら告知というか、各日の内容予定をこれから隔日くらいのペースでざくざくUPしていきたいと思いますのでよろしくです。
ご存じの方は多い、というか、現在四〇歳以上のジャズ・ファンならとーぜんお分かりのことでしょうが、今回のこの企画、一日「朝の部・昼の部・夜の部」三公演という形態は、七〇年~八〇年代の新宿ピットイン採用されていた伝説のシステムに対するオマージュです。この当時の新宿ピットインには「朝の部」(たしか11:30~open)があって、ピットインで演奏するためには通常この「朝の部」に何度か出演し、自身の腕前を店と先輩方に認めてもらい、その後、昼の部に自分のセッションやグループで出て、さらに夜に出演するグループに引き抜かれて出る、といった手続きを踏む、いわば、オーディション的な役割を果たす公演時間帯があったのでした。この「朝の部」は、手元に資料がないので明確に日付を示せないのが残念ですが、ピットインが現在の場所に移転したあとも(92年、93年かな? どっちだっけ?)、確かしばらくは続いていたはずで、なんだけど、ぼくが演奏をしはじめたころにはもう終わっていて、結局ぼくはこの「朝の部」に出ることは出来なかったという訳です(お客さんとしては91年に横浜へ移ってから2,3回行っており、この時の印象も強力なんだけど、この話はまた違う場所で)。
 なんらかのイベントに間に合わなかった、ある特別な空間に出会い損ねた、あとから来たので立ち会えなかった、という経験がもしあるとするならば、ぼくはおそらくこの「ピットインの朝の部」がそれであり、7days企画をやらせてもらえることになったとき、ほとんど無意識的にそのスケジュールに「朝の部」を加えることを決めていたのは、飽きっぽい自分としてはめずらしく、思っているよりずっと深く、この時代のこの場所のサウンドにまだ囚われているのだと思います。
 それはともかく! いろいろ考えた結果、「朝の部」は毎日日替わりで
1) スタンダードの名作曲家を一人or二人取り上げて、楽曲の演奏と解説をおこなう
2) 日替わりでカレー・ランチ付き
 という演目になりました。7daysを乗り切るために、毎日とりあえず昼はおいしく健康的なカレーでも食べよう! むしろ毎日規則正しく仕事と食事をして、七日間で健康になって横浜に戻ろう! 7days荻窪ダイエット! という勢いであります(続く)。