九月二十四日

主のいない部屋はガランとして、コロコロコミックとコミックボンボンが少しほこりをかぶって いた。見たところ1000枚以上あるCDやレコードは、アルファベット順にきちんと整理されていた。 Nのところを見る。また買ったのだろうか、棄てたはずのニュー・ファッズのCDが、マイブラと ニューオーダーに挟まれて並んでいた。机の上には、イシモトさん、タツヤ氏とともにトラやん の前でポーズを決める能生の写真があった。きっと豊田市美術館の時のものだ。やっぱり、真ん 中だ。太陽みたいな笑顔を見せている写真の中の能生に向かって、「来年、ATR来日するみた いだよ」とつぶやいて、僕は写真立てを倒した。と、ここまで書いてきたが実は部屋に入ってき て最初にした事がある。僕は真っ先にレコードプレーヤーを調べたのだ。ブラームス。

学園祭で一週間ほど休みになったので東京の実家へ帰った。天気のいいある日、ele-kingの新し いのとパンとジュースを買って北の丸公園へ行った。配達系、を見て少しニヤリとしたけれど、 それはすぐに泣き笑いみたいな感じになった。出来るだけ無表情でいないと駄目みたいだ。やめ ておこうと思ったのにやっぱり足は駿河台の方へと向かった。明大を左に坂を昇る。信号が赤な ら曲がろうと決めた。しかしながら信号の神様は僕に青の審判を下したので、僕は山の上ホテル には行かずにすんだのだ。次の関門はディスクユニオンだが、ここはCDを買うという言い訳が用 意してあるので、すんなりと入店だ。トータスのリミックス集には今度は「未来派テクノ・オヴァ ルのリミックスも収録。ポスト・ロック・ミーツ・ポスト・テクノ!!」とコメントが貼ってあっ たので、ビリビリと破いてやった。店員に怒られた。能生はとても変わった所のある人だったか ら、きっと大変だったろう。

そしてもちろん、僕は能生の肩を持つ。