ところで皆さんは「ストーンローゼズゲーム」というのを御存知だろうか。ルールは簡単。ローゼズの再結成の年月日を予想して、内輪で一番近い人が金メダル、そうじゃない人は銅メダル!盛り上がるから絶対やってみて。
投稿者: 大谷 能生
10月10日
12月リリース予定のソロ・アルバム「『河岸忘日抄』より」のマスタリングで武蔵小金井のSARA-DISCまで。横浜線で行ってみたのだが、もうこれは旅ですね。温泉に思いをはせる。マスタリングは順調にサクサクと終了。データを焼いているあいだ、リビングでピアノとドラムでセッション。帰ってきた小学生の娘さんたちが迷惑そうにしてた。その後、近所のYM氏に移動しだらだら飲み。万博の話になり、もちろんつくば科学博世代のわれわれはロボットに何をさせたら面白いかというアイディアを出し合う。クラフト・ワークを完コピ。深沢七郎の「紡ぎ唄」にフェイザーとピンポン・ディレイをかけたらE2-E4より凄かった。
10月7~9日
結構しっかり休んでました。7、8には山下公園であったワールド・フェスに行って飲み食い。9は横浜スタジアムで今期ハマスタ最終戦を見る。万永引退にホロリ。僕も13年間横浜一筋でがんばりたい。この三日で食べたものリスト。
- イタリアのなんとかいうソーセージ
- ベトナム風お好み焼き
- ブラジル、フェダアージャ(だっけ?豆と豚モツ煮てご飯に掛けたやつ。好き)
- 山形芋煮
- スタンダード・ハンバーガー(並んでる最中に狂牛病の話をしてて店の人に微笑みかけられる)
- 霧笛楼のなんだっけ、ポーク・ソテーみたいなのと、エビのグラタン?
- 崎陽軒シュウマイ
- せりと牛肉の炒め物
- 卵焼き
- 枝豆(以上、球場で)
- もつ鍋
- 明太子(居酒屋かめちゃんで)
あとなんだっけ。
10月3日~6日
POLITICO3sのリハなどいろいろあった。なんだけど、西武コミュカレ・キャンセルの件で自責の念に駆られ、仕事が手につかない。というほどでもないが、暗いです。「モラル」について再び考える。例えば、ポップカルチャーはいつだってその情念を拭い去ろうとする時はベルリンに向かうそうだが、ベルリンは迷惑しているのではないか? これこそ「モラル」の問題なのではないのか。いやマジで。これだけは言っておくが、寿司屋でコハダ、サバ、アジを食べないぐらいなら、ハンバーグステーキでも召し上がった方がおためですよ。京極め、このごうつく爺め、何がルノワールだ馬鹿者。ヤミ米で儲けておいて何が「このじゅん菜かてなんや」だ馬鹿者。山岡もなんだ。栗田のおむすびに「30点」って何だ。「失礼」だよ。というわけでしばらく「モラル」、ひいては「失礼」という事について考えてきたわけなんだけど、こういうのって思春期の女の子に特有のはしかみたいなものだからもう寝ます。
10月2日
朝帰りな訳だが、今日は昼からマイミク、とりちゃん家で麻雀のお誘いを受けていたので、家帰って即効シャワーあびて着替えして日吉まで。途中で電話があり、とっくに始めているかと思いきやメンツ不足でまだ卓が立っていないとのこと。早足で部屋に入り、そのまま卓についてプレイ開始。メンツはとりちゃん、杉本拓氏、先週京都であったばかりのEVことかえるさんこと細馬先生。成績は23421で結局は+2ぐらいの2位。みんな思ったことを自動的に喋りすぎで、時々合唱と奇声も混じる。フリーダム。鉄格子を嵌めてみればそのままどこぞの施設関係の見本になるような会であった。途中から参加したモーリ嬢のmixi名が「のどちんぽ」なので、「ちんぽ、それポン」、「ちんぽ、リー棒リー棒」などと「ちんぽ」(あるいは「ちんこ」)連発。鼻かぜをひいてたEVさんの「そこの鼻紙とってください。レイ・ハナガミ」。リーチ後の「私の微弱なハートを語るのにふさわしい場所はオフサイトだと思うの」。「小西真奈美です。おつかれさま、ぐびだまどぼっ!」。「小西真奈美です。ぐびだまどぼっ!」(リピート。うるさい)。にゃんこ先生の物真似をしたままカンする杉本さん。興奮して立ち上がって指揮棒を振るとりちゃん。などなど。またやりたい。
10月1日
それにしてもこの夏は忙しかったが、圧力鍋でほどよく柔らかくなっている鶏肉をモリモリ食べて乗り切りました。
サイゾーの連載も終わりという事で、イラストのちろみ君と中野ブリックにてささやかな打ち上げ。トリハイをがぶ飲み。酔ったちろみ君がどうしても見たいというので美紀ちゃんを呼び出す。バーに移動し、彼女にはフレッシュジュースを、僕らはキャプテン・モルガンをまたしてもがぶ飲みし(口中が甘い)、引っ越し前のちろみ君家へ。いつも通りがんばれベアーズなどのビデオを見ながら馬鹿話を始発まで。ジャッキー・チェンの話などしていたからか、帰り道、誰もいない早朝の早稲田通りでカンフーの真似事をしていたら、突然角から出てきた女性に見られてしまった。
駅に着き、中野方面へ帰る美紀ちゃんとホームでそれぞれ電車を待っている。どうやら下りの方が早く来るようだ。電車の到着を知らせるアナウンスにかぶせるように、彼女が言った。
「先生、人間はね、抵抗することが美しいのよ。抵抗することが人生なんです。死ぬまで抵抗しましょうよ」
僕は、世間の評判だとか、病気だとか、締め切りだとか、あるいは国家権力の圧力だとか、あらゆるものに最後まで、あきらめずに抵抗して自分を貫いて生きるのが、生物としての人間の美しさだというふうに聞いた。そしてそのとき初めて、レジスタンスという言葉の本当の意味を知ったような気がした。
電車に乗り込んだ彼女は、思いついたように慌ただしくカバンをあさり、中から一冊の文庫本を取り出して僕に渡した。「先生、これとっても面白いわよ、読んでみて」
古今亭志ん生の「なめくじ艦隊」だった。
9月30日
朝顔もまったく観察せぬまま9月も終る。これはかなりモラルに反した行為であるまいか。というわけで今日は「モラル」という事について書いてみたいと思う。
まずは、先般出版された「日本の電子音楽」の著者である川崎氏との初対面時の事について書く。この時のあれこれが、僕が「モラル」というものを考えだすきっかけになったと言ってもいいからだ。 いつだったか、おそらく数年前の事だ。それまでメールだけのやりとりであったのだが、研修のため横浜に来ているというのでニューグランドまで会いにいった。ところが、まず川崎の容貌。これがもういきなり失礼だ。「現音? グランジでも聴いてろ」といった具合に失礼なのである。「モラル」をはなはだしく逸脱していると言っていいだろう。これは一体どういう事なのか。実はそのとき川崎は前田(スモール・サイズ・ペンドルトン、前田興業)も一緒に連れて来たのだが、僕は最初前田を川崎だと思った程だ。二人を間違えたのは僕が原因だと言わんばかりの容貌で、議論以前に高みに立とうとするこういう姿勢がドナルド・キーンほど露骨ではないにしてもやはり不当であるように思う。
そして、前述したように川崎は前田も連れて来たのだが、これの失礼具合は言うまでも無いだろう。なぜなら僕は川崎と会う事を約束したのであって、それは決して前田と会う事を意味するものではないからだ。よって、来ただけでも「失礼」な前田なのだが、これまたその上容貌も「現音? ポジパンでも聴いてろ」といった具合に失礼なのである。失礼極まりないのである。前田は『僕、セントエティエンヌとかポップウィルイートイットセルフとか結構好きなんですよ』と言っていたが、これは「モラル」云々以前の問題であろう。その後、お互いに挨拶を済ませてからファミレスに入ったのだが、僕がアイスティを注文しているにもかかわらず川崎はラフロイグ(しかもカスク)をオーダーしたのである。この「失礼深度」もかなりのものだが、前田にいたってはヴァイオレットフィズだ。このオーダーは明らかに論理的正当性を欠いており、ファミレスにおける注文、すなわちオーダーのルールが確立され、スポーツ的に楽しく有意義なものとして広く認知されるべきだと思っている僕にとっては我慢ならない行為である。失礼この上ないと言えるだろう。 だが、「失礼」と言えば、西武コミュニティ・カレッジでの講義を延期した僕は皆に対して「失礼」であり、含み損をどんどん拡大させている嫁は僕に対して「失礼」であろう。いやもうだからさ、なんていうの、みんな「失礼」だよ!!
とにかくここで僕が言いたいのは「もっていくうた 」の「おいていくうた」、つまり失礼デプス(深度)はネオアコなんかにうつつを抜かしていた大学時代を切なく思い出してはキキとララってなんだっけ、そうそう例の学習机だよ、とかなんとか言いながらこの横浜で生きていくわけです。
9月29日
Esquire web で連載が始まりました。
http://esquire.bb-f.net/web/
BOOK246で毎月行っているレクチャーを編集した(自分で)ものです。第一回目は深沢七郎。原稿が長いので三分割して3週連続でお送りします。次回はボリス・ヴィアン。リアルタイム10月のお題はマルコム・リトルa.k..aデトロイト・レッドa.k..aマルコムX(ムスリム名:エル=ハジ・マリク・エル=シャバーズ)です。みなさまのご来場をお待ちしております。11月は宮沢賢治。もう9月も終わり、秋ですね。ベランダのプチ・トマトの蔓が凄いことになってる。
九月二十八日
伊勢佐木の有隣堂で東北地方の温泉ガイドを買う。昼の間は10月にある二つのバンドのライブ(politico3s、Unit Gramphone)のデモ作りをずっと。ところで今、将棋が流行しているという。それも、ヤングの間、中でも、女性に人気があるという。美紀ちゃんなんかもたまにネットで対局しているというんだから凄い。僕は常々、将棋は日本の国技であると思っている。もっともっと棋士を大事にしてほしいと事あるごとに言ってきたつもりである。そういうわけで、将棋が若い人達の間で流行していると聞いて、嬉しく思った。しかし、よく聞いてみると、どうもチョット違うんじゃないかと思うようになってきた。例えば、新入社員かなんかが残業を断る理由として、「今日は対局がありますから」なんて事を言うらしい。そうして、将棋をダシにしてデートなんかをする。そうこうする内にアタシと将棋とどっちが大事なの、なんて迫られて往生するなんて事もあると言う。また、履歴書の趣味欄に「将棋」と書いて入社した社員に上司が対局を持ちかけれると「僕、指せません」と言われたそうだ。ではなぜ履歴書に書いたのかと問うたら、ケロリとして「だってその方が就職試験に有利でしょう」。電車に乗れば女性誌の中吊り広告に「将棋ダイエット」なんて惹句が踊っている。いい加減にしろ!! とにかく、竜王戦の経過が気になりすぎて、まだ第一戦が始まってもいないのに日本将棋連盟のページをリロードリロードリロード。渡辺明竜王はこれからどうなるのか。夜、WOOLSのリハを終わって京浜東北線で家に帰り電気を付けると、いつもと部屋の間取りがちょっと変わっている。廊下がある。
九月二十七日
日電音編集部の川崎青年と、スモール・サイズ・ペンドルトンの前田君(前田興行)が来訪。新しい企画のお誘い。
「なにか、文学作品とそれにまつわる音楽を各回一つずつ取り上げる以外のものも考えてみませんか」
「いやあ、駄目だ。へたばっている」
「・・・」
「文学と音楽と場所をめぐるクロスポイント以外は何もやらないつもりだ」
「・・・」
「のんびりと暮らしたい」
なんだか二人がニヤッと笑ったように思われた。不気味だ。何かあるゾ。
「ご承知のように、無職で金欠だ。腹も出てきたし酒も弱くなった」
僕は、今年、サイゾーという雑誌の連載(「東京サーチ&デストロイ」)を六回で中止している。それに西武の講義も延期させてしまった。そうそう迷惑をかけるようなことはしたくない。恥をかきたくない。
「だから考えてきたんですよ。いやマジで」
前田君は以前、江古田に住んでいたのである。
「持ってゆくうた、置いてゆくうたの番外編として、温泉へ行っていただきたい。温泉へ行って、のんびりと静養してもらいたいんです」
川崎青年が後を続けた。なんだか二人組のテープ編集によるコンパイルド・ミュージックを聴かされているような気がする。
「番外って言ったって、結局は、演奏するんだろう。あと講義も」
「それはそうです。これからは松本日之春の時代です」
なんてことを言う。うまいことを言う。あとで一人になったら、松本日之春の時代? いくら考えても何のことかわからない。
しかし、僕もこういう企画は、嫌いな方ではない。いや、好きな方と言ってもいいかも知れない。悪ノリしてしまうことにした。温泉、おおいに結構じゃないか。